ホンダ・ブロス

HONDAのエンジン

概要

ホンダ・ブロスは、1988年に登場した400ccクラスのV型2気筒スポーツバイクです。正式名称は「BROS(ブロス)400」、海外では「NT400」として知られる場合もあります。片持ち式(プロアーム)スイングアームや水冷Vツインエンジンなど、当時のホンダらしい挑戦的なメカニズムを採用し、軽快なハンドリングと独特のスタイリングで注目を集めました。

フレームはダイヤモンド型をベースにしつつも、プロアームとの組み合わせが斬新でした。ハーフカウルモデル(BROS P1)とネイキッドモデル(BROS P2)というバリエーションが存在し、スポーティな走りを楽しむユーザーに向けて展開されました。

売れなかった理由

ブロスは技術的に高い評価を受けた一方で、市場のニーズと噛み合わなかった面があります。まず、価格設定がやや高めで、同じ400ccクラスでも4気筒スポーツモデルが人気を集めていた時代に、あえてVツインを選ぶユーザーが限られていました。

さらに、外観のデザインが独特で、ネイキッドモデルとしては洗練されているものの、ハーフカウル版は中途半端なイメージを抱かれることもありました。ユーザーは「ツアラーなのかスポーツバイクなのか判断がつきにくい」という声を上げ、明確なコンセプトが伝わりにくかったのです。

当時のホンダは、VT系やCB系といった人気シリーズが幅広くラインナップされており、ブロスはその影に埋もれる形になってしまいました。プロアームなどの高度な技術にコストがかかった割に、セールスポイントがユーザーに十分アピールできなかったことも大きな要因です。

レビュー

ブロスに乗ってみると、Vツインエンジン特有のトルクフルな走りを低中速域で楽しめると感じられます。車体もコンパクトで軽量なため、ワインディングでのハンドリングは軽快です。大排気量モデルにはない扱いやすさが魅力で、初心者でもスムーズに走りを楽しめます。

一方で、高回転域での伸びは4気筒モデルほど期待できず、スポーツライディングを求めるユーザーには物足りない面があるかもしれません。見た目の好き嫌いもはっきり分かれるため、デザインに惹かれたファンは強く愛着を持ちますが、一般ウケしにくい部分も否めないです。

現在では生産終了から時間が経っており、カスタムパーツや純正部品の入手が難しいこともあります。それでも、プロアームとVツインの組み合わせに惹かれるコアなファンは多く、中古市場では個性的な存在として根強い支持を得ています。